「オージービーフって、なんか臭い…」「焼いたときに独特のにおいがして苦手」という声は少なくありません。
でもそれ、肉が悪いからではなく“原因がハッキリしている”ニオイなんです。
実はオージービーフの臭いの正体は、
- 牧草飼育による独特の風味
- 冷凍・解凍や調理方法の違い
- 国産牛との嗜好ギャップ
 といった「ちょっとした環境や調理の差」から生まれているだけ。
つまり、ちょっとした下処理と調理の工夫で臭みはしっかり抑えることができます。
この記事では、
- オージービーフの臭いの原因
- NGな調理・保存方法
- 臭みを消す下処理・調理テクニック
- 臭いが少ない肉の選び方
- 臭みを活かしたおすすめレシピ
 を、わかりやすく徹底解説します。
「オージービーフ=臭い」という印象をガラッと変えるための、実践的な対策を知りたい方にぴったりの内容です。
オージービーフが「臭い」と言われる理由
牧草飼育による特有の風味と香り
オージービーフが「臭い」と言われる最大の理由の一つが、牧草飼育による独特の香りです。オーストラリアではグラスフェッド(牧草飼育)が主流であり、自然の草を食べて育った牛は赤身が多く、脂身が少ないのが特徴です。日本人はサシの入った和牛の脂の香りに慣れているため、この牧草の香りを“獣臭い”と感じやすい傾向にあります。特に脂身が少ない分、肉本来の香りがダイレクトに伝わり、敏感な人には強く感じられることがあります。
グラスフェッドとグレインフェッドの違い
オージービーフには「グラスフェッド(牧草)」と「グレインフェッド(穀物)」の2種類があり、香りにも大きな差があります。グレインフェッドは穀物を食べて育つため、風味がマイルドで臭いも少なめ。一方、グラスフェッドは牧草由来の香りが強く、独特の“草っぽさ”が出るのです。調理法や好み次第で、この香りが「旨味」にも「臭い」にも感じられます。
輸送・熟成による香りの変化
オージービーフは長距離輸送されるため、その過程で真空パックによる熟成が進みます。この「ウェットエイジング」という熟成方法によって、旨味が増す一方で、特有の香りが発生する場合があります。特にチルドではなく冷凍品を解凍する際には、ドリップとともに臭いが出やすくなるため、調理前の下処理が非常に重要になります。
解凍・加熱の仕方で臭いが強くなる
オージービーフは解凍や加熱の仕方によって、臭いの出方が大きく変わります。冷たいままフライパンにのせてしまうと、ドリップが出て蒸し焼き状態になり、臭いがこもってしまうのです。また、強火で長時間焼くと肉の香りが凝縮し、苦手な人には「臭い」と感じやすくなります。常温に戻してから、短時間で焼き上げるのが臭みを抑えるコツです。
国産牛との風味ギャップ
日本の消費者が「オージービーフ=臭い」と感じる大きな要因は、国産牛との味と香りのギャップです。国産牛は脂身が多く、甘い香りが特徴。一方で、オージービーフは赤身主体の肉らしい香りが強く、慣れていない人には違和感が出やすいのです。香りが強いこと=品質が悪いというわけではなく、肉の個性の違いと捉えると印象は大きく変わります。
臭いが強くなる調理・保存のNG行為
冷凍・解凍を繰り返す
冷凍・解凍を何度も繰り返すと、肉の繊維が壊れ、ドリップが大量に出てしまいます。このドリップには臭いの元になる成分が含まれているため、調理時に強い臭いを感じる原因になります。購入後は冷凍と解凍を繰り返さず、1回で使い切るのが理想です。
冷たいまま焼いて臭みを閉じ込める
冷蔵庫から出したばかりの冷たい肉をすぐに焼くと、表面が蒸されるような状態になり、臭いがこもります。さらに、肉の中までしっかり火が通らず、外だけ焦げて中が生っぽくなることもあります。焼く30分前には常温に戻しておくことで、臭みを飛ばしながら美味しく焼くことができます。
強火で焼きすぎる・焦がす
オージービーフは強火で長く焼きすぎると、水分が飛びすぎてパサパサになり、香りが凝縮して「臭い」と感じるリスクが高まります。短時間でしっかり表面に焼き色をつけ、その後は余熱で火を通す“レア〜ミディアム”の仕上がりがおすすめです。
長時間放置で酸化が進む
解凍した肉を長時間放置すると、酸化が進んで脂の風味が変化します。これが酸味や獣臭の原因になり、食欲をそぐことがあります。解凍後はできるだけ早く調理することで、余計な臭いを防ぐことができます。
水分をしっかり取らずに調理する
表面に残ったドリップをそのままにして焼くと、水分がフライパンで煮詰まり、臭いが強く出やすくなります。焼く前にキッチンペーパーでしっかり水分を拭き取ることで、余計な臭いを抑え、香ばしく焼き上げることができます。下処理のひと手間が、味と香りを大きく左右するポイントです。
臭みを抑える下処理の基本
キッチンペーパーでドリップをしっかり除去
オージービーフの臭みを抑える第一歩は、調理前の「水分除去」です。解凍後の肉にはドリップ(肉汁)が多く含まれており、この中に臭いの元になる成分が含まれています。このドリップをそのままにして調理すると、フライパンで煮詰まってしまい、臭いが強調される原因になります。調理前にキッチンペーパーで表面を丁寧に押さえ、水分をしっかり取り除くだけで臭いの発生を大幅に抑えられます。特に厚めのキッチンペーパーで包み、5分ほど置いておくと、余分な水分を効果的に吸収できます。
牛乳や塩水に浸けて臭いを中和
日本でも昔から知られている裏ワザが、牛乳や塩水に浸ける方法です。牛乳にはたんぱく質の臭い成分を中和する効果があり、30分程度浸すだけで独特の“草っぽい”香りが驚くほど和らぎます。一方で、塩水に浸す方法も効果的で、余分な血液やドリップを抜きつつ、肉を柔らかくする効果があります。調理前に水気をよく拭き取ることで、下味も入りやすくなり、香りと食感の両方を改善できます。
ニンニク・ハーブでマリネ
オージービーフの香りを“臭い”ではなく“風味”に変えるには、香りづけが効果的です。特におすすめなのがニンニクやローズマリー、タイム、ブラックペッパーなどのハーブを使ったマリネ。オリーブオイルと一緒に肉を数時間漬け込むことで、香りが肉全体に移り、牧草特有の臭いが抑えられます。また、マリネには肉を柔らかくする効果もあるため、赤身主体のオージービーフには非常に相性が良い方法です。
焼く前に常温に戻す
冷蔵庫から出したばかりの冷たい肉を焼くと、表面が蒸し焼きになって臭いがこもりやすくなります。焼く30分前には常温に戻すことで、加熱時に余計なドリップが出にくくなり、香ばしい香りをしっかり引き出せます。さらに火の通りも均一になり、外はカリッと中はジューシーに仕上がるため、臭みの軽減と食感の向上の両方が叶います。
臭いが出やすい脂身をカットする
臭いが強く出やすい部位の一つが脂身部分です。牧草飼育特有の香りは脂に多く含まれているため、気になる人は調理前に脂身をある程度カットしておくとよいでしょう。完全に取り除かず、ほどよく残すことで香ばしさも活かせます。焼く前に軽く筋切りしておくと、焼きムラや反り返りも防げます。
調理法で臭いを消すテクニック
強火で短時間→余熱で仕上げる焼き方
臭みを抑えたいときは、強火で一気に焼き色をつけ、その後は余熱で仕上げる「レア〜ミディアム」寄りの焼き方が最適です。長時間焼くと水分が飛び、香りが凝縮して臭いが強くなるため注意が必要です。表面に香ばしい焼き目をつけることで、香りが一気に引き締まり、赤身肉のうま味が際立ちます。
煮込み・ローストで臭みを飛ばす
臭いが気になる人には、煮込みやロースト調理も有効です。長時間の加熱で臭いの成分が飛び、香辛料やソースの風味が肉全体にしみ込みます。赤ワインやデミグラスソース、トマトソースなど香りの強いソースと組み合わせると、臭いを完全にマスクすることも可能です。しっかり火を通すので、初心者でも失敗しにくい方法です。
スライス肉で臭いを抑える
ステーキ用の厚切り肉は香りが立ちやすい一方で、スライス肉にすると臭いが軽減されます。薄い分、加熱時間も短く済み、香りが強く残りにくいのです。炒め物や焼きしゃぶ、すき焼き風にするなど、調理のバリエーションも広がるため、オージービーフに苦手意識がある人にはスライス調理がおすすめです。
香辛料・ソースで風味を調える
臭いを完全に消すことが難しい場合でも、香辛料やソースをうまく活用することで“おいしい香り”に変えることができます。ブラックペッパー、ガーリック、レモン、マスタード、わさびなどの風味が強い調味料を合わせると、肉の香りとバランスが取りやすくなります。ソースは甘辛系やスパイス系との相性が抜群です。
レスト(余熱休ませ)を活用
焼き上がった肉をすぐに切ると、旨味と一緒に肉汁が流れ出し、香りも一気に広がってしまいます。焼き上げ後にアルミホイルで包み、5〜10分ほど休ませる「レスト」を取り入れることで、余熱で内部まで火が通り、香りが落ち着きます。臭みが立ちにくくなり、肉本来のうま味を最大限楽しむことができます。
臭いの少ないオージービーフの選び方
グレインフェッドを選ぶ
オージービーフの中でも臭いが少ないとされるのが「グレインフェッド(穀物飼育)」です。グラスフェッド(牧草飼育)は赤身が強く風味がダイレクトに出るため、特有の草っぽい香りを「臭い」と感じる人もいます。一方、グレインフェッドは穀物を中心とした飼料で育てられているため、香りがまろやかでクセが少ないのが特徴です。特に焼き調理を好む人や、臭いに敏感な人にはこのタイプの肉が断然おすすめです。
真空パック・チルド肉を選ぶ
臭いを最小限に抑えたいなら、冷凍よりもチルド肉を選ぶのがポイントです。冷凍肉は解凍時にドリップ(肉汁)が出やすく、これが臭いの原因になります。一方、真空パックされたチルド肉は鮮度が高く、臭いが出にくい状態で保たれています。購入の際には「冷蔵」「チルド」「真空パック」といった表示をチェックし、保存状態が良い肉を選びましょう。
ドリップの少ない肉を選ぶ
パックの中にドリップがたくさん溜まっている肉は、解凍・流通過程で水分と一緒に臭い成分が出ている可能性があります。見た目がしっかりしていてドリップが少ない肉は鮮度が高く、臭いも抑えられていることが多いです。購入時にはパックの底をしっかり確認し、余分な汁気が少ないものを選ぶのがコツです。
脂の色と赤身の色で見極める
臭いの出やすさは脂や赤身の状態でも判断できます。鮮やかな赤色で、脂の色が白〜乳白色のものは鮮度が高く、臭いも少ない傾向があります。逆に、脂が黄色っぽいものや赤身の色がくすんでいるものは、酸化が進んでいる可能性があるため、臭いが強いケースがあります。購入時は色味とツヤをよく見て選びましょう。
評判のいいブランド牛を狙う
オージービーフにもブランドがあります。例えば、穀物肥育の「グレインフェッドブランド」やプレミアムラインの肉は、品質管理が徹底されており、臭いが少なく食べやすいと評判です。少し値段は上がりますが、臭いが気になる人には大きなメリットになります。スーパーの産地表示やラベルをチェックして、信頼できるブランドを選ぶのも一つの戦略です。
臭みを活かすレシピと味付けアイデア
ガーリック・ペッパーで香ばしく焼く
臭いを消すのではなく、香りを“上書き”する方法として最も簡単なのがガーリックとブラックペッパーです。オージービーフの赤身は香ばしい風味との相性が抜群で、にんにくの香りが強く出ることで肉の匂いが気にならなくなります。特にステーキでは、にんにくチップやオイルを活用すると、臭みを感じる暇もなく香ばしさが広がります。
赤ワイン煮込みで風味を引き出す
臭いが気になる人には、赤ワイン煮込みがおすすめです。ワインの酸味と香りが臭みを中和し、肉全体に深いコクとまろやかさを与えてくれます。香味野菜と一緒に煮込むことで、肉の香りがソースに溶け込み、クセがほとんど気にならなくなります。オージービーフは煮込みに向いている赤身肉が多く、調理との相性も良好です。
焼きしゃぶ・炒め物で臭いを抑える
ステーキ用の厚切り肉よりも、薄切り肉を使った焼きしゃぶや炒め物の方が臭いが出にくい傾向があります。加熱時間が短く済むため、臭いが立ち上がる前に調理が終わるのです。しょうゆやポン酢、香味野菜と合わせるとさらに食べやすくなり、臭みが苦手な人にもおすすめの調理法です。
スパイス&ハーブで香りを上書き
クミンやコリアンダー、ローズマリー、タイムなどのスパイス・ハーブ類を使うと、オージービーフの香りが一気に引き締まります。洋風に仕上げたいときはスパイスミックスを使うと便利ですし、和風に仕上げたいときは生姜やにんにく、ネギを合わせると臭みを感じにくくなります。香りの上書きによって「臭い」を「食欲をそそる香り」に変えることができます。
和風ソースとの相性を活用
オージービーフは、和風ソースとの相性も非常に良いです。大根おろし×ポン酢、しょうゆベースの甘辛ソース、わさび醤油などは、赤身のうま味を引き立てながら臭いをやわらげてくれます。脂身が少ない分、ソースがよく絡むので、臭み対策だけでなくおいしさの底上げにもつながります。
まとめ:オージービーフは「臭い」ではなく調理と選び方で変わる
臭いの原因を理解すれば対策できる
オージービーフの臭いは、品質が悪いからではなく特有の香りと調理方法の違いによるものです。原因を知ることで、的確な対策が取れるようになります。
調理前のひと手間で印象が激変
調理前の下処理や肉の選び方を少し意識するだけで、臭いの印象は驚くほど変わります。特にドリップの除去やマリネは効果的です。
臭みを消す調理法で旨味を引き出す
加熱方法を工夫したり、スパイスやソースを活用することで、臭みはしっかり抑えられます。香ばしさをプラスすることで、赤身肉本来のうま味も引き出せます。
肉の選び方で失敗を防ぐ
グレインフェッドやチルド肉など、購入時の選び方も臭い対策の重要なポイントです。見た目やラベルでしっかりチェックしましょう。
「臭い」を風味として活かす楽しみ方もある
臭いと感じていた香りも、調理次第で“旨味”に変わります。スパイスや和風ソースを活かせば、オージービーフは家庭でもおいしく楽しめる万能な食材です。
 
  
  
  
  
コメント