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豚ヒレ・ヒモの部位はどこ?体の位置とロースとの違いを解説

豚ヒレは、腰椎(腰の背骨)の内側・腹腔に沿って走る大腰筋にあたる部位です。

ほとんど動かさない筋肉のため、豚肉の中でもっとも柔らかく、脂質が非常に少ない赤身肉です。

豚ヒレはどこの部位か・ヒモとは何か

豚ヒレは腰椎の内側(腹腔側)に位置する大腰筋で、「ヒモ」はそのヒレ本体の側面に付属する細い筋肉のことです。

1頭の豚から取れるヒレの量は両側合わせて400〜600g程度しかなく、希少性の高い部位です。

ヒレの体の位置(背骨内側・腹腔側)

豚の体を横から見ると、背骨の外側(背中側)に位置しているのがロースです。

豚ヒレはその背骨を挟んで反対側、腹腔の内奥に沿って位置しています。

具体的には腰椎に沿って左右1本ずつ走っており、1頭の豚から取れる量は両側合わせておよそ400〜600g程度です。

これは枝肉全体(約80kg前後)のわずか0.5〜0.7%に相当します。

この少量さこそが「ヒレは希少」と言われる直接の理由です。

なお、ヒレは「フィレ」「テンダーロイン」とも表記されますが、いずれも同じ部位を指しています。

「ヒモ(チェーン)」とはどこか:ヒレ本体に付属する細い筋肉の構造

豚ヒレのブロックをそのまま見ると、太いメインの筋肉の側面に、細くひも状の筋肉が付いています。

これが「ヒモ」と呼ばれる部分で、英語圏の精肉業では「チェーン(chain)」と呼ばれています。

比較項目ヒレ本体ヒモ(チェーン)
別名テンダーロイン・フィレチェーン
形状紡錘形・太い細くひも状
食感非常に柔らかいやや繊維感・筋がある
スジ・シルバースキン少ない多め
主な用途ヒレカツ・ソテー・ステーキ炒め物・煮込み・ひき肉

スーパーではヒモを付けたまま販売するケースと、ヒレ本体だけに整形して販売するケースの両方があります。

ヒモはシルバースキンと呼ばれる薄い膜が多く、そのまま加熱すると縮んで食感が固くなります。

本体と切り分け、スジを除いてから調理するのが基本です。

柔らかい理由と希少性:運動量が少ない筋肉だから

筋肉は使えば使うほど繊維が発達し、肉質が固くなります。

逆に、ほとんど動かさない部位は筋繊維が細かく、コラーゲンの密度も低いため柔らかい食感になります。

豚ヒレは生前にほぼ使われない筋肉であるため、豚肉の中でもっとも柔らかい部位とされます。

ただし脂肪が少ないぶん水分が抜けやすく、過熱するとパサつくため、火の入れ方には注意が必要です。

部位運動量筋繊維の粗さ脂肪量肉質の傾向
ヒレほぼなし非常に細かい極めて少ない最も柔らかい
ロース少ない細かい中程度柔らかい
モモやや多いやや粗い少ない中程度
バラ多い粗い非常に多い固め(脂で補う)

ロースとヒレの違い

ロースは背骨の外側(背中側)の最長筋、ヒレは背骨の内側(腹腔側)の大腰筋で、背骨を挟んで隣接する別の筋肉です。

位置は近いですが、脂質・食感・価格・調理適性はいずれも大きく異なります。

位置・肉質・脂の違い

比較項目ヒレロース
体の位置背骨の内側・腹腔側背骨の外側・背中側
筋肉名大腰筋最長筋
脂肪極めて少ない(ほぼ赤身のみ)外側に脂身がつく
食感柔らかく、きめが細かいしっとりして弾力がある
過熱時のリスクパサつきやすい脂がコクを保ちミスしにくい
希少性高い(1頭あたり400〜600g)低い(1頭あたり数kg)
価格帯(目安)高め(100g 250〜400円程度)中程度(100g 150〜250円程度)
向く料理ヒレカツ・ソテー・ピカタとんかつ・しょうが焼き・ロールカツ

価格は産地・時期・販売店によって変動するため、上記の金額はあくまで参考値です。

カロリー・栄養の比較

下の表は文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」に基づく、豚ヒレと豚ロースの栄養素(100gあたり)の比較です。

栄養素豚ヒレ(赤肉・生)豚ロース(赤肉・生)豚ロース(脂身つき・生)
エネルギー約115kcal約150kcal約248kcal
たんぱく質約22g約23g約19g
脂質約3.7g約5.6g約19g
約0.9mg約0.6mg約0.5mg

ヒレはロース(赤肉)と比べて脂質が少なく、カロリーも約35kcal低い水準です。

たんぱく質の量はほぼ同等で、鉄分はヒレの方がわずかに多いです。

ロース(脂身つき)はカロリーがヒレの約2倍以上になるため、脂質を意識する場合は部位の選択だけでなく「脂身をどれだけ残すか」も重要な判断になります。

よくある質問(FAQ)

豚ヒレのヒモ部分だけ売っている?どこで買える?

一般のスーパーでヒモ単体が販売されていることはほぼありません。

精肉専門店・業務用スーパー・ネット通販では、ヒレブロックにヒモが付属した状態で販売されているものがあります。

一般家庭でヒモを入手する現実的な方法は、ヒレブロックを購入してからヒモを切り離して使うことです。

ヒモはシルバースキンを除いたうえで、炒め物・角切りにしてシチューやカレー・ひき肉代わりに使うことができます。

ヒレ本体より食感はやや固めになりますが、旨みがあり十分においしく食べられます。

豚ヒレはスーパーで買えるのにヒモはなぜ少ない?

流通の段階でヒモを除去してヒレ本体だけを整形したうえで販売するケースが多いためです。

ヒモはシルバースキンが多く見た目が整いにくいため、一般消費者向けの商品として扱いにくいという事情があります。

また、ヒモを残したまま真空パックすると形が崩れやすく、売り場での商品管理という点からもヒレ本体のみに整形した販売が主流になっています。

ヒレカツとロースカツどちらがおすすめ?

目的と好みによって選ぶ基準が変わります。

重視するポイントおすすめ理由
カロリーを抑えたいヒレカツ脂質が少なく、揚げても軽い仕上がり
コクと食べごたえロースカツ脂身の旨みが衣に染み出してリッチな味
柔らかさを優先したいヒレカツ筋繊維が細かく、噛み切りやすい
コストを抑えたいロースカツ一般的にヒレより価格が低いことが多い

とんかつ専門店では、ヒレカツを厚切り(約2〜3cm)にして揚げることで柔らかさを最大限に引き出す仕上げが一般的です。

ロースカツは脂のコクが主役のため、どちらが「おいしい」かは好みによって異なります。

豚ヒレは必ず加熱が必要か?

はい、豚ヒレを含む豚肉はすべて中心まで十分に加熱することが必要です。

豚肉を生または加熱不足の状態で食べると、E型肝炎ウイルスやサルモネラ菌などによる食中毒リスクがあります。

厚生労働省は、豚肉の調理において中心部の温度が75℃に達してから1分以上加熱することを推奨しています。

豚ヒレは薄いスライスでも断面が淡いピンク色に見えることがあるため、色だけで判断せず、肉汁が透明になっているかを確認するか、料理用温度計で中心温度を測るのが確実です。

牛田 和也

牛肉・ホルモン料理の情報サイト「肉のある暮らし」運営者。100店舗以上の焼肉店・精肉店への訪問と月3〜5回の自宅調理の検証を継続的に行い、部位の選び方から下処理・調理技法まで幅広く研究。当サイトでは、農林水産省・JMGAの公的データデータや業界資料をもとに、牛肉のカロリー・栄養成分・特徴を確認しながら、実食・調理検証を組み合わせた情報発信を行っています。

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